美濃和紙とは

Mino Washi

美濃和紙の歴史

History

約1,300年前の美濃の国では、すでに紙が作られており、それらは『美濃紙(みのがみ)』と呼ばれていました。これが現在の美濃和紙の始まりです。

美濃の国があった場所は、現在の不破郡垂井町のあたりだとされておりますが、そこで作られた紙が最も古い美濃紙と言われており、今も奈良県の正倉院に大切に保存されています。紙の作り方は、この西濃地方から次第に中濃地方に伝わり、その後、この美濃市にも広まりました。

室町時代には、市内の大矢田に紙の市が開かれ、岐阜県内だけでなく全国から紙を買いにくる人が集まりました。

美濃の国では、紙の原料となる質の良い「楮」がたくさん採れました。さらに美濃紙は、他の紙に比べ、見た目にとても美しく、また、丈夫で、日本だけでなく当時の中国にまでそのすばらしさが伝わっていきました。

美濃和紙

美濃和紙の材料と製造工程

Materials and Production Process

01. 材料

■原料

美濃和紙の原料は、主に「楮(こうぞ)」と「三椏(みつまた)」の2種類の植物の繊維です。楮は強靭で柔軟性があり、三椏は繊維が細かく、紙にしなやかさを与えます。また、近年では「雁皮(がんぴ)」という植物も使用されることがあります。雁皮はさらに細かく、非常に高級な和紙が作られます。

楮(こうぞ) クワ科の落葉低木。
強度を要求する和紙の代表的な原料。繊維が太く長いため、強い紙が作れます。
記録用紙・障子紙・表具用紙などとして利用されます。
三椏(みつまた) ジンチョウゲ科の落葉低木。
繊維が短くやや強さを欠きますが、光沢があり、緻密で平滑な印刷適正に富んだ和紙ができる。紙幣用紙・金糸銀糸用紙・箔合紙などに利用されます。
雁皮(がんぴ) ジンチョウゲ科の落葉低木。
短い繊維で薄くて強く、半透明で粘りがあり、光沢のある紙ができる。
箔打紙・写経用紙・謄写版原紙紙・記録用紙・表具用紙などに利用されます。
トロロアオイ(黄蜀葵) アオイ科の一年草。
根から粘性液がとれ、これを「ネリ」(美濃ではネベシ)と呼ぶ。ネリは時間がたつと姿を消し、あとに不純物を残しません。このネリの効果が「流し漉き」という世界最高の和紙を生む技術を確立させました。
■漉き水

和紙の漉きに使用される水も重要です。美濃地方の水は、軟水であり、紙作りに適しています。

02. 製造工程

■原料の準備
  1. 剥皮(はくひ)
    木の皮をむき白い皮にします。
  2. さらし
    原料を水に浸し不純物(あく)を取り原料を柔らかくします。
  3. 煮熱(しゃじゅく)
    さらされた原料の繊維のみを取り出すために炭酸ソーダで2 時間ほど煮ます。
  4. ちりとり
    原料に残っている細かなチリ・皮・変色した部分を手作業にて取り除きます。
  5. 叩解(こうかい)
    原料を石の板の上で木槌で叩きほぐします。
■紙漉き

細かくした繊維は水とネリ(トロロアオイという植物の根から出る粘液)でしっかりと混ぜ合わせます。紙漉きは簀桁(すこて、すけた)という木枠ですくいあげ、縦揺り(前後)、横揺り(左右)を繰り返し、繊維同士が絡まないようにします。この作業が美濃和紙の薄さとムラのない均一さ・強さを生み出します。

■乾燥

乾燥前に脱水をします。たくさんの水分が含まれるため、ジャッキを使ってじっくりと引き上げます。脱水を終えたら一枚ずつ丁寧に板に貼って天日干しをして乾燥させて紙にします。

■仕上げ

乾燥した和紙を目視にて一枚一枚念入りに仕上がりを確認します。また、要望によっては断裁され完成します。

美濃和紙の特徴と品質

Features and Quality

01. 強度と耐久性

美濃和紙は、その強度と耐久性で有名です。特に「楮」を使用した和紙は、非常に丈夫で長持ちします。これにより、書道や装飾、さらには文書保存など、多様な用途に適しています。

02. 手触りと風合い

手作りで漉かれるため、一枚一枚に個性があります。手触りは非常に柔らかく、かつ、しっかりとした感触があります。
また、薄くてムラがなく、美しい質感が特徴です。

03. 特有な技法

美濃和紙は紙を漉くときに通常の「縦揺り」にゆっくりとした「横揺り」を加えて繊維を絡み合わせるという産地特有な技法によって他にはない特有な風合いを生み出しています。

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